最近、暇さえあれば携帯電話を開いている人をよく見かける。特に若者と携帯は切っても切れない関係にあるようだ。
保健室でも堂々と携帯を出していた生徒との間に、次のような場面があった。
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1回目 |
「○○君、携帯はやめてね。」 |
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<○○君は無言でメールを打っている。> |
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2回目 |
「○○君、さっき言ったことわかった?」 |
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<横目でちらっと私を見る。> |
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落ち着いているときなら、2回ぐらいは私も優しく言えるのだ。
しかし、余裕のなくなっている私はキレる。
「そんなことする元気があるんなら授業に行きんちゃいよ!」
……きまずい空気が流れる。そして生徒は悲しい目をする。確かに私の言い方がまずかった。保健室では元気でいられても、教室ではしんどい思いをしていることはわかっているのだ。ついきつく言ってごめんなさい。でも、マナーは守って欲しいのよ(悲)。
どうやったらお互いに気まずくならないで、伝えたいことをうまく伝えられるのか。そんな思いに駆られ、この夏県教育センターで行われた「アンガーマネジメント研修講座」に参加した。この研修講座では「心の中に起こる怒りそのものを否定するのではなく、むしろその怒りの実態を正しく理解し、それとどのように向かいあったり、対処したりすればいいのか」ということを学んだ。3日間に渡る研修のうち、現職の先生が自校で実践しているアンガーマネジメント・プログラムの発表があったが、大変勉強になるとともに、その内容に先生方の強い思いを感じた。
資料に『「I」メッセージ』というものがあった。担任が遅刻を繰り返す生徒を叱るとき、「またあんた遅刻したの。どうしてあんたは時間が守れないの。」これは相手を責める言い方である。ところが、「遅刻すると一日の生活が乱れるだけでなく、授業を中断しなくてはならないし、周りの人の迷惑にもなると思う。君とはもう遅刻しないと約束していたから私はとても残念だよ。」という私の気持ちを伝える方法では、相手を大切にするだけでなく、自分も大切にすることができるという。「You」ではなく「I」に替えるだけで。
やや回りくどい気もするが、学校に持って帰って使うと、確かに怒鳴り散らすよりも生徒は耳を傾けてくれる。ただ、私はまだ心も技術も未熟なので、怒りを懸命に沈めようとしながらしゃべるため、かなり微妙な表情になっていると思われる。生徒も、私の内面から滲み出る何かに追われ保健室を後にしているのかもしれない。まだまだ修行が必要である。
しかし、上述のように怒りを抑えて相手との関係を温和に保つことがいつも必要であるとは思わない。怒るべきときに怒る、笑いたいときに笑う。自分が持った感情を素直に出す。そういうことも大切にしながら子どもたちとふれあっていきたい。 |
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