◆『相談課便り』第25号◆ ようこそ! 岡山朝日高等学校のホームページです
『相談課便り』第25号 コンテンツ
教育相談課について
学校医によるこころの健康相談
スクールカウンセラーによる相談
生徒のセクシャルハラスメント等の相談
相談課スタッフの自己紹介
「遅すぎない〜必ず取り返せます〜」 大西 由美


<平成23年6月発行>
 <表面>
 <裏面>

 教育相談課について
 教育相談課では「安心して相談できる場」の提供を最も重要なこととして考えています。深刻な相談だけでなく,ささいな気がかりであっても,どうぞお気軽にご利用ください。面接相談と,電話相談の両方を行っています。また,生徒からの相談だけでなく,保護者の皆さんや教職員からのご相談にも対応させていただきます。スタッフは10人で,次のような方針で相談活動を行っています。
 @相談に来た人を主人公とします
 A秘密は厳重に守られます
 B気持ちを大切に,共に考える姿勢で対応します
 C予防的・開発的教育相談も提供します
 D特別支援の観点からも細やかに対応します


 学校医によるこころの健康相談 
 本校では精神科校医の中野善行先生による「こころの健康相談」を年間5回計画し,各回ごとに文書でご案内を差し上げています。専門のお立場からの支援をいただき,毎回好評をいただいています。 第1回目は終わりましたが,このあと7月・9月・11月・2月に実施する予定です。

 スクール・カウンセラーによる相談
 昨年度に引き続き,スクールカウンセラーとして森口章先生に来ていただいています。先生は高校の教師をご退職後,現在は「沢田の杖塾」を主宰され,山陽新聞の相談欄を担当されたり,講演会に回られたり,多方面で活躍されています。本校では、年間12回にわたって生徒や保護者の相談に応じていただいたり,研修会や事例検討会などにもお力添えをいただく予定です。今後の来校予定は以下の通りです。
6/15(水)8/23(火)9/21(水)10/5(木)10/27(木)11/10(木)11/29(火)1/12(木)2/8(水)3/14(水) 
    「こころの健康相談」「スクールカウンセラーによる相談」は予約ができます。
    教育相談課(大西由美・神田美紀)または担任までお申し込みください。
               TEL  272−1271(岡山朝日高校)

 生徒のセクシャルハラスメント等の相談
 生徒のみなさんがセクシャルハラスメント等のことで相談したいときには,次のスタッフが対応させていただきます。担任も相談に乗ります。
    大西 由美 (国語科・教育相談課長)   大口 正行 (保健体育科・保健主事) 
    中野 正勝 (地歴公民科・教育相談係)  神田 美紀 (養護教諭・教育相談係)


 相談課スタッフの自己紹介    〜よろしくお願いします〜
 中野正勝(1年 地歴公民)
 相談課の中野です。僕が相談したいくらい悩みを抱えていますが(笑)、皆さんは僕以上に、青春の悩みを地球の重さぐらいは抱えていることでしょう。一緒に話せば解決してゆけるかもしれません。(解決できないかもしれませんが。)結局は最後、自分自身で前に進むしかないのですが、ほんの少しだけアシスト ができるかもしれません。そのような時は遠慮無く声をかけてみてください。

 後神直子(1年 書道)
 朝日高校は今、新緑の優しい緑が深い緑へと変わっていき、木々の葉が豊かに繁り、今年もまたかわいらしい燕があちこちに巣を作っています。2階の書道教室から操山の方を眺めると一面に緑が広がり、どこか山の避暑地にでも来ているかのような清々しい気持ちがしてきます。四季折々の自然の姿にじっと見入ってしまうようになったのはいつの頃からだったろうかなどと思いながら、毎日つかの間の錯覚避暑地体験を楽しんでいます。

 小林由佳 (養護助教諭 1年団所属)
 高校の3年間というのは本当に色々なことが起こります。楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと、納得がいかないこと、悔しいこと…色々な壁にぶつかり、思い悩むことが誰にでもきっとあります。一人で悩んでいないで、まずは誰かに言ってみてください。思っている以上に心がすっきりすることがあります。
みなさんの大切な高校生活を有意義なものにするお手伝いをさせてもらえるととっても嬉しいです。

 小野公生(2年 物理)
 YOU DON'T KNOW WHERE YOU'RE GOING TO 迷いの中で広げた 孤独の翼 涙の海を越えたら
 YOU'LL SEE BLUE SKY 形のない 夢でもいい 明日の風にかざして 羽ばたく…今
これは、X JAPANのDAHLIAという曲の歌詞の一部で(本当は全角スペース部分すべて改行)、好きなフレーズの一つです。大したことはできませんが、困難に打ち勝つ力、その一助となれれば幸いです。

 神田美紀(養護教諭 2年団所属)
 高校生の時、なかなか自分自身を好きになれなかった「私」のことを覚えています。理由は、「私」は「私」だから、自分自身の心の動きがよくわかったからなのです。例えば、波長の合わない友人の前では、表面上はニコニコして相手と話を合わせているのに、心の中ではその行動と一致しない心の動きに気が付いていたからです。そんな「私」の中の二面性に戸惑い、許すこともできず、好きになれませんでした。でも、次第にそんな「私」を受け入れ始めることができました。特別なきっかけがあったからではありませんが、心許せる友人に「私」の心の内面を打ち明けることができたからだと思います。友人に、「私」の心のドロドロとした感情を打ち明けることは、随分勇気のいることでしたが、友人はただ「私」の側に居て、話を聴いてくれました。人に話を聴いてもらうことは、問題の解決にはならないかもしれませんが、自分の気持ちの整理ができたり、問題に立ち向かう勇気が湧いてきたり、悩んでいる「私」を受け入れることができたりするのでしょう。私は、朝日高校のみなさんとこんな心の出会いが出来ればと思っています。保健室にいます。気軽に声を掛けて下さい。

 南 洋明(2年 化学)
 人生の壁は突然やってくるものです。その壁を乗り越えるためにどんな方法をとりますか。その方法の1つは,他の人の助けを借りることです。教育相談室は,お手伝い好きな先生方の集まりだと思っています。今年は私もやっとその一員になりました。今年1年よろしくお願いします。

 時岡英雄(3年 保健体育)
 3年H組担任、保健体育教員、サッカー部顧問の時岡英雄、46歳です。
朝日高校へ赴任して3年目になります。OBなので、約30年ぶり2度目の朝日高3年目です。「三つ子の魂百まで」と言います。朝日高での3年間の経験は今すぐ実になるものだけでなく、じわじわと年月が経って、自己に影響を与えてくれていることを実感する奥深いものです。 私は、母校愛が芽生えたのは40歳を過ぎてからです。

 柴田みさえ(3年 英語)
 とうとう3年生の担当になってしまいました。覚悟は決めていたものの(1,2年生担当でも頑張ってきたつもりですが)3年生の皆さんと同様,プレッシャーは感じますね。それでも毎日様々な場面で,皆さんが頑張っている姿を見ると,やっぱり頑張らなきゃと思います。悩みはあって当然。その悩んでいる人を見て,力になりたいと思う人がいて,そういう考え方が出来る人をみて,自分もそうなりたいと思う 人がいて,そういう人の存在をうれしく思う人がいて,実は一つの悩みも良い連鎖を生み出すことができるのです。大切なのは考え方。あなたも良い連鎖を生み出すつながりにちょっと入ってみませんか。相談課はそんな窓口ですよ。

 高橋 元(3年 生物)
 植物は常に水を与えているとあまり根が伸びず、丈夫に育ちません。なので、ちょっと水が足りない環境にしてやると、どんどん根を伸ばし、大きく丈夫に育ちます。人も同じで、苦しい・辛い体験を乗り越えると大きく成長するのではないでしょうか。そのサポートが少しでもできればと思います。 皆さんと多少、歳も近いので、高校生ならではの悩みも何となく解るような気がします。困ったときは遠慮なく声をかけてください。


 「遅すぎない 〜必ず取り返せます〜」  大西 由美 
望まれること…
 締め切りに追われる仕事をたくさん抱えて、日々生活している我々にとって、期限を守ることはとても大切なことです。望まれる時期に、望まれるレベルの仕事をきっちり仕上げてこそ一人前。それは、われわれ教師の世界だけでなく、他の多くの職業人にとっては、ごくごく当たり前の価値判断でしょう。
 学校の生徒も同じです。課せられた課題を、誠実に期限までに計画的にこなすこと、部活動の練習メニューを確実に消化して、目標の時期までに、望ましい技量を身につけることなど、きっちりやり遂げてこそ認められる…。この評価基準には大きな誤りはないように思われます。
 勉強も部活動も積極的に頑張り、自分のなすべきことを自分で考え選び取ることのできる生徒、「自主自律」を実践できる生徒を育てることが、岡山朝日高校の教育理念の一つであるということも、また誤りのない認識であると思います。日々の連絡は掲示版(ホワイトボード)に掲示され、生徒はそれを見て自主的に動きます。一日HRや朝日祭などの行事の計画運営も生徒主体で進んでいきます。…そして、教師は生徒たちの自主的行動を見守り、必要以上の手助けはせずに、じっと待つ姿勢を貫いています。…このような「自主自律」を育てる教育的工夫の在り方は、他校に対しても誇れるわが校の魅力であろうと思います。放任でも過保護でもない。ほどよい距離感の中で教師と生徒が生活している。教師も生徒もなすべきことに対して妥協せず、日々研鑽しながら互いに成長してゆく学校…勤務15年目の私には、この学校がそのように認識されています。したがって、朝日高校生らしい生徒、朝日高の先生らしい先生とは、(やはりこの言葉)「自主自律」の実践ができる生徒、そして先生ということになりましょう。それがまず望まれることだと考えます。
 
大切なこと…
もうひとつ、大切なことがあります。それは、「自重互敬」の精神。「自分を大切にし、互いに敬う」ということ。これは、言葉で言うのは簡単ですが、実際にはなかなか難しいことです。
「自分を大切にする」ためには、自分に自信や誇りを持つことが必要です。そのためには、他者との関係の中で自分をとらえ、自分が属する社会集団の中での自分の価値・位置・役割などを認識し、「だれかにとって必要な自分」、「社会の中で役立つ自分」というように、自己効力感を持てることが大事だと考えます。自分を大事に出来ない人が、他者を敬い尊重することはできません。ですから、「互いに敬う」間柄になるためには、まず、一人一人の生徒や先生が、自己効力感をもって生活できることが望ましいことなのです。ところが、この自己効力感を感じることが、特に本校のような優れた人材(勉強ができるという限定的な意味ではありません)が集う学校においてはなかなかできないことなのです。

残念なこと…
私はこれまで、自己効力感を感じられずに、悩んだり苦しんだりしている多くの生徒と向き合ってきました。また、集団の中での自分に自信を持てずに辛い思いを抱えておられる先生方ともお話ししてきました。その中で、いつも感じることは、組織集団がもつ、抗しがたい威圧感でした。
 その威圧感は、時に残酷なまでに人の心に傷を残してしまいます。そして、劣等感や自己否定感、抑鬱感、無気力感などがもたらされ、授業に出られなくなる、学校に来られなくなる、人と関わることが恐ろしくなる…などといった状況につながっていくことがあります。助けてほしいとこちらに求めてくることができる場合は、まだ救いようもあります。話をじっくり聞いて苦しみに寄り添い、必要に応じて専門の医師につないだり、スクールカウンセラーの先生にアドバイスをもらったりすることで、糸口をつかみ、改善に向かっていくケースもたくさんありました。しかし一方では、誰にも本当のことを伝えられず、一人で苦しみ続け、何も語らないままに学校から去ってしまうという残念なこともあったのでした。

伝えたいこと…
 組織が個人に与える威圧感は、決して全否定される「悪」ではありません。高い志を持ち、研鑽を積むエネルギーを維持していくためにはむしろ必要な「よいストレス」です。ともすれば安易で楽な方向へ流れがちな弱い心を鼓舞し発憤させるためには、たとえば「朝日の生徒(先生)ならば〜であるべきだ」といった、厳しさを伴った高水準の成果の要求が必要だと思います。要求に対して、自ら考え行動し、応えることのできる人々の集団だからこそ、高い要求がされているとも言えるでしょう。
 しかし、だからといっていつも誰にでも同じ要求
してよいかというと、それは違うと思うのです。集合を迅速にしなければならないからといって、足を骨折している人に、他の人と同じように走ることを要求するでしょうか。体調が悪く食べ物を受け付けない人に、栄養があるから食べろといって無理に食事をさせるでしょうか…。答えはもちろんNoです。どちらの場合も、しかるべき配慮をしながら休養をとらせ、回復を待つことが求められます。悩みや苦しみを抱えている人もこれと同じです。心が折れて、みんなと同じようにはできないのです。心が弱っていて、どんなに自分のためになることだと理屈では分かっていても、受け付けなくなっているのです。
 
気づくこと…
 骨折や体調不良は、目に見えて分かることが多いので、周囲の人に気づいてもらえ、しかるべき配慮をしてもらうことも比較的容易です。しかし、心の問題は目に見えないため、必要な配慮がなされないばかりか、怠け者・横着者・わがままなどと誤解されたり、いじめられたりして、余計に問題が深刻になる場合があります。このようなことはできる限り避けたい。そのために、自分の周りの人たちのちょっとした変化にも敏感に気づき、配慮することのできる力を持ち合わせていたいものです。そういう力を持った人がたくさんいる集団は、互いを尊重する、あたたかな風土を持った集団になるでしょう。また、そのような集団の中で、大切にされることが自己効力感にもつながっていくと思います。そして、大事にされるから大事にするという配慮の和が広がっていくことは、たとえば学校でいうならば、不登校やいじめを減らしていくことにもつながると考えます。

気づくために…
 辛く、苦しい思いをしている人の思いに気づくことは、なかなか難しいことです。教師がそのために教育相談や特別支援について学び、「見る目」を養い、また、生徒の悩みや苦しみに配慮した対応ができるように自己研鑽することは当然のことでしょう。(朝日高校では、日頃から生徒によく目を配り、一人一人を大切にした対応をしています。専門の先生やスクールカウンセラーの先生にもお力添えをいただいています。) しかし、あたたかな風土づくりは教師の力だけではできないものです。生徒相互の間に、認め合い、支援し合う力を養うことが大切でしょう。それは、具体的には生徒が「自分の考え方や行動の特性を知ること」「人の話を上手に聴く力を持つこと」「対立場面での対処の仕方を知ること」などによって、集団の中での自分の価値・位置・役割を認識し、自己効力感を感じ、他者を尊重できるようになることで、徐々に実現されていくものと考えます。5年目を迎えるピア・サポート活動はそのような思いからはじまり、いままでに70余名の生徒をピア・サポーターとして育ててきました。ピア・サポート活動を通して養われるコミュニケーション能力は、学校だけではなく将来の長きにわたって、様々な場面で役立つ力です。

遅すぎない…
 〜大丈夫、必ず取り返せます。〜 これは、かつて子どものことで悩んでいた私に、同僚がかけてくれた言葉であり、私が、相談室に来られる保護者の方によく申し上げる言葉です。実感として…。
 何ごとも、「もしかして…かもしれない」と気づいたときがはじまりです。自分の周りに目を向け、もう一度よく見てみましょう。笑顔の裏で泣いている人はいないでしょうか、苦しいのに無理をして弱っている人はいないでしょうか、責任感が強い故に「威圧感」が重荷になって、つぶれそうな人はいないでしょうか…。そうやって、辛い立場の人に気づき配慮することは、決して「病人扱い」でも「甘やかし」でもありません。一人一人が自己効力感を感じながら生活し、「自重互敬」の精神が実現されるあたたかな学校風土をつくっていくために、とても大切なことなのです。
 いまからでも、決して遅すぎることはありません。あなたの周りにSOSを発せずに苦しんでいる人がいたら、力になってあげましょう。何もできなくてもまず、気にかけてあげましょう。できれば、声をかけてあげてください。まずは、「おはよう」からでも。また、あなた自身がSOSを抱えているならば、信頼できる「誰か」に勇気を出して話してください。「誰か」が見つからないときは、どうぞ、遠慮なく相談室にきてください。 ともに考え、支援したいと思っています。すぐに助けられないかもしれませんが、何かの糸口を見つけることはできるでしょう。いまさら…「遅い」。そう思うかもしれません、でも「遅すぎ」ではない。必ず取り返せます。そう信じて行動を始めるところから、世界は変わってくるのです。
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