◆『相談課便り』第26号◆ ようこそ! 岡山朝日高等学校のホームページです

※今回のタイトル「相談課便り」は,書道の後神直子先生に書いていただきました。それぞれの文字が力強く生き生きとしており,夏の暑さにに打ち勝つための元気を与えてくれそうです。後神直子先生には,締めの書もお願いしました。裏面の書も是非ご鑑賞さい。
『相談課便り』第26号 コンテンツ
節電 萱嶋 宏康
〜相談室の窓から〜
願い事は... 柴田 みさえ
あなたに贈るバラの話 南 洋明
ピアサポーターたちの決意
書(朝日) 後神 直子
朝日によせて・・・


<平成23年7月発行>
 <表面>
 <裏面>

 「節電」   萱嶋 宏康  
 東日本大震災の影響で各地で原子力発電所が停止し,電力不足のため,節電が取りざたされるようになった。私は5月の終わりに東京に行ったが,新幹線を降りた品川駅では,ホームからエスカレーターでコンコースへ上がると薄暗く,列車案内の電光表示も表示されていない。また普通であれば次々に来る山手線も少なくとも7〜8分は待った。「東京は本当に節電が必要なのだな」と思ったが,実際は駅によりだいぶ差があるようである。私は電車で通勤しているが,ある時岡山駅もとても暗くなったと感じた。昼間を中心に節電に取り組んでいるらしい。
本校でもエコ活動は,昨年来の「エコBOX」,今年度には「グリーンカーテン」の運動を行っている。また,従来教室移動時の消灯やエアコンのオフ,またセブンtoセブンという校内のゴミを削減する運動もある。多くの人はこれらに反対するようなことは言わない。しかし実際に教室の消灯ができているかと言うとなかなかできていない。必要なものに対しては惜しまずに使えばよい。だが,無駄なことに対しては「あなた」が気づき動いていくことが大切だ。強制的な節電は受け入れるしかないが,これは個人にまかされる節電である。気づくためには関心を持っていることが必要だし,そのように振る舞えるためには普段からの行動が重要だ。今春,家庭科の大西淑江先生が退職された。私は昨年度,大西先生の隣の席で1年間過ごさせてもらった。朝早く来られ,毎日校舎を開けて回られる。フットワーク軽く前向きにいろいろな提案をされ,事を進めて下さるような先生にいつも助けていただいた。私はこのようなことが自然にできる人はすごいと思う。男女を問わずさりげない気遣いができる人はすばらしい。
 被災地では,生徒たちが厳しい現実を受け止めて,家族や地域のために何が出来るかという視点が芽生えているということも聞く。ややもすれば豊かな生活が当然で,自分にイヤなことを課す方が悪いと思い,動かない人もいる。被災者の方は苦しさから何とか立ち上がろうと頑張っておられる。私たちは被害にあわなかったことをありがたく思い,目先だけにとらわれない視点で,私たちの在り方を見つめ直し,元気の出る社会を築く良い機会とすべきだと思う。

 〜相談室の窓から〜 
 一学期は,保護者の方の電話相談が例年よりも多くありました。対応に困って,さてどうしようか?と迷ったとき,相談する相手として「朝日高校相談室」を選んでくださったことを,とてもよろこばしく感じています。毎日生活する家庭と学校が連携して,お子様達の問題に寄り添いながら支援していくことは,とても大切です。今後も,小さ な気がかりでもご遠慮なくご相談くださればありがたいと思っています。(086-272-1271) 

 「願い事は...」  柴田 みさえ
 今年も3年生のHR教室に七夕飾りが登場した。7月1日の放課後,各クラスに笹が設置され,一人一人に願い事を書く短冊が配られた。志望校を書いて他の人にも見てもらい,自分自身の覚悟を固めようと呼びかけたが,短冊に書かれた願いは実に様々だった。「○○大学に現役で合格しますように」のような極めて具体的なものから「○○で一人暮らしが出来ますように」という,合格したいという気持ちを遠慮がちに表したもの。「嵐のチケットが当たりますように」のような女の子らしい願い事もあれば,「幸せになれますように」といった漠然とした願いもあった。担任も短冊を渡されていたので,自分の短冊片手に生徒達の願い事を眺めていたのだが,ふと自分の娘が保育園の頃の七夕を思い出した。
 私の娘が通っていた保育園では,七夕が近づくと必ず短冊2枚を渡されて,「お母さん,子供さんと話をしてお願い事を書いてあげて下さいね。こちらはお母さんのお願いを書いて下さい。」と言われたものだった。さっさと書いて笹につければいいのに,いろいろと考えすぎるからか,なぜか毎年締め切りぎりぎりになってしまった。子供の願い事は具体的なものが多く,その願いが叶うか叶わないかがはっきりとしてしまう。七夕の夢をつなぐためには願い事を何にするのかが結構大切である。「スイカをたくさん食べられますように」ならかわいいものだ。「シルバニアハウスが欲しい」と言われれば,「それはサンタにお願いしようね」と言える。しかし「夏休みにディズニーランドに行けますように」などと書かれると夏の計画を真剣に考えなければならない。慎重な言葉のやり取りをしながら,短冊を書いた記憶がある。(この経験をもとに,自分に孫ができれば,七夕の願い事は極めて具体的に書くようにアドバイスしようと思っている。)親としての願い事を書くのはさらに苦労した。いっそのこと自分自身の願い事を書こうかと思うが,「ゆっくり休めますように」という本音はさすがに書けないし,叶いそうもない願い事を書くのもむなしい。子供のために何を願うかとなると,「事故などに遭わず元気で大きくなりますように」か「お友達と仲良く保育園で楽しく過ごせますように」である。親が子供の成長で願うことは,本当はそのようなことしかないのだろうと思う。
 子供が小学生になり,中学生になり,そして高校生と大きくなるにつれて,具体的に他の子供さんと比べる材料も多くなる。勉強をする,しない。成績が良い,良くない。スポーツが得意,不得意。友達が多い,少ない等である。それに従って親として子供に願うことも具体的になってくる。「あんた,もうちょっとテストでましな点がとれんの?」「部活を続けたいんなら,しっかりやらんと。他の子はちゃんとやってるで」と私も高校生の娘についつい言ってしまう。自分が高校生だった頃と現在とはかなり違う。だいたい自分の高校生時代は極端に美化されていることが多い。(実際のところ勉強だってそこそこにしかしていなかったし,部活も週に1回だけのほぼ帰宅部だった。)でも「お母さんが高校生の頃はもっとましだったわよ。」と言ってしまうのだ。保育園でダンゴムシを熱心に探していた娘もついに体格では私を超してしまった。ついでに態度も大きい。もうすっかり親離れする準備が出来ているのだろうから,いちいち自分の願い(?)を押しつけることもないのかなと反省もする。
 そんなことを考えながら,ついに自分の短冊に願いごとを書いた。「子供達が美男美女に育ちますように」多少無理はあるかもしれないが,なかなか夢のある願い事だと思う。もちろん適当に書いたわけではない。恥ずかしくて本当の気持ちが書けなかったのが正直なところだ。実はこのふざけたような願い事の裏には「親や担任として余計なことを言わずに夢をもって成長を見守っていけますように」という言外の願い事が隠れている。笹には飾り付けたが七夕様だって読み取れない願いかもしれない。


 「あなたに贈るバラの話」   南 洋明
 香りというものは不思議なもので,言葉で表現できない様々な感情を引き起こすことがよくあります。高校で取り扱う科学系の物質はたいてい良い臭いがしないので,積極的に使用したいとは思わないかもしれません。ましてや大学においては,有機化学を専攻するとよく分かりますが,学術上は重要な試薬も鼻をつまみながら取り扱うことも往々にしてあります。ただ,身近にある香りは「落ち着く」「心地よい」「美味しそう」など肯定的なものもたくさんあります。皆さんは安らぎたいときはどんな香りをかいで元気になりますか?いくつか例を挙げますと,グレープフルーツに代表される柑橘系の香りで部屋を満たしてくつろいだりするととても良いです。また,森林浴で森の香りに含まれる「フィトンチッド」という物質を嗅いで取り入れると,精神が落ち着きます。香りの効果で疲れを残さないライフスタイルを構築できたら素晴らしいですね。
 そのように思いながらまわりを見渡すと,「バラの香りで癒されます」「からだからバラ香る」とうたったバラの香りのする商品が身近に見られるようになりました。エチケットを気にする日本人らしい商品ですが,私もつい買ってしまいました。果たしてバラの香り漂う人間になったかといわれれば,かなり疑問が残ります。
 ところで,バラといって皆さんが思いつくことは何でしょうか。私は,理科を専門としているので,バラに関しては記憶に残る記事があります。皆さんは,酒類で有名なサントリーが,2004年に世界で初めて青いバラの開発に成功したことをご存じでしょうか。バラには様々な色素を有するものがありましたが,本来青い色素(「デルフィリジン」といいます。)を含有しないので,品種改良でつくるのは不可能と当時は言われていました。そんな中1990年にプロジェクトが始まって以来,14年をかける壮大な研究が行われ,ついに成功を収めたそうです。遺伝子組み換え技術の発展もありましたが,日本の技術研究は本当に素晴らしいとつくづく感じました。詳しい開発のストーリーはサントリーのホームページに掲載されていますので,ぜひ夏休み中に見てください。 
 青いバラの開発成功に関してもう一つ興味深いことがあります。青いバラの開発が不可能と言われていた頃は,「不可能・有り得ない」という花言葉を持っていたそうです。しかし,今では「奇跡」「神の祝福」という花言葉が設定され一般的に売られています。新たな歴史が生まれるとそれに伴って新たな変化が起こるものですね。ちなみに赤いバラはご存じの通り「情熱」,白いバラは「純潔」,オレンジのバラは元気にしてくれる色なので「爽やか」といった花言葉があります。いつかバラの花束を贈るときに,是非参考にしてください。
 朝日高校で様々な奇跡を起こそうとしている皆さんに,青いバラを贈って激励したいという思いもありますが,私の財布のひもはとてつもなく堅いので激励の言葉でご容赦ください。

 『やりたいと思うことをやっている自分をつねに想像してごらんなさい。まもなくあなたに奇跡がおきます。』(ジョセフ・マーフィー)


 ピアサポーターたちの決意 
 本年度で5年目を迎えたピアサポート活動は、生徒の中に相互支援の力を育て、あたたかな学校風土作りを目指す活動です。今年は、昨年度よりもさらにたくさんの生徒からの応募があり学校全体にピアサポートの輪が広がっていくものと大いに期待しています。
 去る6月25日にガイダンスを行い、トレーニングは来る8月2日・3日に実施します。生徒達の昨年の熱心な活動に感激された西山久子先生(福岡教育大学大学院准教授)が今年もトレーニングにお力添えくださいます。
 教育相談室の前には,左の写真に示すとおりピアサポーターたちの決意を掲示しています。本当に頼もしい限りです。


 「書(朝日)」   後神 直子 
 

 「朝日に寄せて・・・」   
 平成9年春に岡山朝日高校に着任して、その夏、そしてその次の夏と続けて富士山に登った。八合目を出発してから、本当に「降る」ように輝いている満天の美しい星を見上げて感動した。次第にうすくなる空気…呼吸が荒くなり、頭が痛くなり…でも時々立ち止まって星を見て、自分を励ましながら、一歩一歩登ったのを覚えている。苦しかった。でも、いまはその苦しさより、星の美しさの方が心に残っている。
 やがて、山頂にたどり着いた。登り切った感動で涙が出た。一緒に登った若い先生と抱き合って健闘をたたえ合った。そして、御来光…。絨毯のような雲海の向こうに一筋の光が差し、静かに輝きながら朝日が昇ってくる。幸運なことに、私は二度とも美しい御来光に出会えた。昇る朝日の光がいままでの苦しさも辛さも全部浄化してしまうような気がした。神々しいというのはあのような光の世界をさして言うのだろう。
 毎日、朝日は昇っている。昨日の疲れも汚れも全部まっさらにして、輝きながら今日一日のためにのびのび朗らかに昇っている… 朝日。生命と力の源。    <yumi>
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