東日本大震災の影響で各地で原子力発電所が停止し,電力不足のため,節電が取りざたされるようになった。私は5月の終わりに東京に行ったが,新幹線を降りた品川駅では,ホームからエスカレーターでコンコースへ上がると薄暗く,列車案内の電光表示も表示されていない。また普通であれば次々に来る山手線も少なくとも7〜8分は待った。「東京は本当に節電が必要なのだな」と思ったが,実際は駅によりだいぶ差があるようである。私は電車で通勤しているが,ある時岡山駅もとても暗くなったと感じた。昼間を中心に節電に取り組んでいるらしい。
本校でもエコ活動は,昨年来の「エコBOX」,今年度には「グリーンカーテン」の運動を行っている。また,従来教室移動時の消灯やエアコンのオフ,またセブンtoセブンという校内のゴミを削減する運動もある。多くの人はこれらに反対するようなことは言わない。しかし実際に教室の消灯ができているかと言うとなかなかできていない。必要なものに対しては惜しまずに使えばよい。だが,無駄なことに対しては「あなた」が気づき動いていくことが大切だ。強制的な節電は受け入れるしかないが,これは個人にまかされる節電である。気づくためには関心を持っていることが必要だし,そのように振る舞えるためには普段からの行動が重要だ。今春,家庭科の大西淑江先生が退職された。私は昨年度,大西先生の隣の席で1年間過ごさせてもらった。朝早く来られ,毎日校舎を開けて回られる。フットワーク軽く前向きにいろいろな提案をされ,事を進めて下さるような先生にいつも助けていただいた。私はこのようなことが自然にできる人はすごいと思う。男女を問わずさりげない気遣いができる人はすばらしい。
被災地では,生徒たちが厳しい現実を受け止めて,家族や地域のために何が出来るかという視点が芽生えているということも聞く。ややもすれば豊かな生活が当然で,自分にイヤなことを課す方が悪いと思い,動かない人もいる。被災者の方は苦しさから何とか立ち上がろうと頑張っておられる。私たちは被害にあわなかったことをありがたく思い,目先だけにとらわれない視点で,私たちの在り方を見つめ直し,元気の出る社会を築く良い機会とすべきだと思う。
|
|