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『相談課便り』第27号 コンテンツ
「将来の自分は,今の自分の積み重ね」 時岡 英雄
後になったらわかります 高橋 元
「いじめ問題・悩みに関する調査」結果の概要 神田 美紀
ピア・サポート活動報告
<平成23年12月発行>
 <表面>
 <裏面>

 「将来の自分は,今の自分の積み重ね」   時岡 英雄
 期末考査が終わりましたが、どうでしたか?結果に一喜一憂しているところでしょう。よく結果より過程といいますが、過程を支える心構えこそが大切なのではないでしょうか。
 以下の文は、飯田史彦氏(福島大学助教授)の「大学で何をどう学ぶか」に出てきた内容です。

 皆さん、10年後、20年後の自分の姿を、知りたいと思いませんか?
 それを知ることは、実は簡単なんです。自分が今、どのような毎日を送っているかを、客観的に見つめてみて下さい。今の自分を見れば、10年後、20年後の自分が見えるんですよ。なぜなら、人間の潜在意識にある思考・言動のパターンというのは、よほどのブレークスルー(価値観の大きな転換)が起こらない限り、何10年経っても、基本的には変わらないからです。
 皆さんは、「学生時代はのんびりと遊んで、就職したら一生懸命に働こう」などと、考えていませんか?大学卒業と同時に、自分が自動的に別人のように生まれ変われると思ったら、大間違いです。自分自身の価値観を自分で変えない限りは、就職しようが転職しようが、所属する組織だけをいくら変えても、結局は同じことの繰り返しになるんです。今の自分を見れば、将来の自分も見えてくるんです。今の自分の思考パターンや生活スタイルを、そのまま延長して、将来の自分の姿を思い浮かべて下さい。その時、そうやって見えてくるビジョンに、満足できますか?納得できますか?
 それでは、今、自分の思考パターンを変えるためには、どうすればいいでしょうか?
 幸運なことに、絶好のチャンスが、目の前にぶら下がっています。皆さんは、今ちょうど、大事な大事な後期試験を目前にしていますよね。まず、その後期試験を目前にして、自分がどのような毎日を送っているかを、客観的に分析してみて下さい。どうですか?後期試験という試練を乗り越えるために、今この瞬間にできることを、精一杯やっていますか?大事な試験の直前だというのに、できること、すべきことが山ほどあるというのに、気が滅入って何もしないまま、だらだらと貴重な時間を浪費してはいませんか? 試験というのは、試験中ではなく、試験前の準備で勝負が決まるんです。いくら試験中に頑張ろうと思ってみても、頭の中がカラッポでは、点は取れないんですよ。試験前に、遊びたいのを、休みたいのを我慢して勉強するというのは、自分との戦いなんです。
 そして今、自分が「試験」という試練にチャレンジしている姿を、客観的に見つめてみて下さい。今の自分は、納得のできる姿をしていますか?その今の自分の姿を、そのまま、10年後、20年後に、人生の試練に直面している自分の姿として、思い浮かべてみて下さい。今、目の前の試練から逃げている人は、10年後だって20年後だって、同じように、人生で直面する様々な試練から、逃げまくっているはずです。たとえ歳をとっても、状況が変わっても、あなたが試練に直面した時に取る思考や行動のパターンは、基本的に同じだからですよ。
 もしも、あなたが、そのような自分の未来像に幻滅するならば、今、そのパターンを変えればいいんです。今後、後期試験が終わるまでの2週間は、皆さんにとって、「自分の人生の縮図」だと思って下さい。試験という試練に直面している自分が、この2週間をどのようにして過ごすかということを見れば、自分の人生も見えてきます。そのためにも、今、自分の価値観を、思考パターンを、生活スタイルを、変えるんですよ。より前向きで、創造的な方向へと、変えていくんです。それは、あなたにしかできないし、あなたにならできるはずです。
  
 さあ、期末考査の結果にではなく、期末考査に向けての取り組みを振り返ってみてください。その心構えを振り返ってみてください。そこからどんな10年後、20年後の自分が想像されますか?将来の自分を創り上げていくのは、今の自分の積み重ねです。そして変わっていけるチャンスは常に今だけです。


 後になったらわかります    高橋 元
 他人から言われる言葉の意味は、だいぶ経ってから理解できるようになると最近特に思っています。そして、わかったときにはふた通りの考えが頭に巡ってきます。たとえば、誰かからの忠告を素直に聴いていれば聴いていてよかったと思い、またそうでない場合は聴いていればよかったと後悔します。どうせ後悔するなら最初から素直になっていればいいと思いますが、良く考えたうえで、それでも譲れないと思うのであれば我を通せばいいとも思います。自分の意見を持たずただのイエスマンではいけないし、特に考えもせずわがままになってもいけないとも思います。自分が考えに考えた末に選んだ道なら、その時の自分の正しさ、間違いが後になってわかります。
 言葉に限らず、身の回りに溢れる様々なものをただの背景と思い気に掛けなければ、それ以上の価値はない、ただ、少しでも気に掛ければ、そのものの本質がわかったとき、それは非常に価値のあるものとなり、その人を豊かにするのだと思います。
 みなさんには今しか経験できないことがたくさんあります。多くのことに興味を持って考えて、悩んで高校生活を楽しんでください。それがきっと将来みなさんを輝かせる基になると思います。昔、先生から言われていたことを、今、自分が生徒に向かって言っていると気づいたとき、後悔と感謝の入り交じった複雑な気持ちになりました。

 「いじめ問題・悩みに関する調査」結果の概要   神田 美紀
 毎年この冬の号では、「いじめ問題・悩みに関する調査」の結果を報告しています。この調査は,教育相談課として長年継続的に実施しているものです。生徒の皆さんが「いじめ問題」についてどのように思っているか、日々どのような思いで学校生活を送っているかを調査し、その結果を共に考えることで、気づきや行動変容に結びつくことを期待しています。また学校でも結果を共有し様々な問題に迅速に対応できるよう協議しています。

問A 【いじめ・悩みについての質問】の結果 (抜粋)
 ☆全体的な傾向

  「体調をよく崩す」「勉強・成績のこと」「将来の見通し」「他人からの評価」の項目は、例年と同じくややポイントが 高くなっていますが、「勉強の仕方」「将来の見通し」の項目は、学年が上がる毎にポイントが低くなっています。これは、 学校生活を通して自らの進むべき進路を見つけ、学習に意味を見出した結果だと思われます。しかし、生徒の多くが勉強 面や将来についての悩みを抱えており、一番の関心事であるだけに不安や焦りなどの気持ちも大きいようです。また「人 の目が気になる」の項目については、毎年どの学年でもポイントが高く、他人との関係の中で自意識が高まるのもこの年 代では当然のことといえます。
 ☆いじめの実態について
  質問h~lまでがいじめに関連した項目であり、その数値は高くはないものの毎年皆無ではなく、いじめにつながるよ うな「からかい」や「言葉の暴力」を含めると、本校にもいじめ問題は存在するということです。こういった行為は、軽 い気持ちから何気なく行われているかもしれませんが、された方は想像以上に辛い気持ちになり傷ついているのだという ことがわかります。周囲の人もそのような場面を見たり聞いたりして不愉快な気持ちになり、クラスに改善すべき点があ ると答えていると思われます。
 ☆友人関係の悩みについて
 思春期~青年期を迎え、心と身体の変化に自分自身とまどいながら、その不安定さの中で人間関係、勉強のことなど、悩みは増える一方です。特に人間関係が広がる高校時代には仲間から嫌われていないか、友人といかに上手につきあうか、ということで不安に思っている実態がこの調査からも見えてきます。
悩み苦しむことは、決してマイナスではなく精神的な成長の上では大切な過程です。自分で解決法を見いだしたり、自分の中で折り合いをつけたりしながら大人へと成長していくものです。他人との関係において自分をみつめ、自我の確立をしていくのが、この年代の特徴ともいえます。

 1-あてはまらない  2-あまりあてはまらない  3-ややあてはまる  4-あてはまる
 「問A」質問事項 3年 2年 1年
a 生活のリズムが整わず,体調をよく崩す。 2.0 2.0 2.0
b 友人関係で悩むことがよくある。 1.7 1.9 1.9
c 学校内に信頼して相談できる人がいない。 1.6 1.8 1.8
d 勉強の仕方がわからず,集中できない。 2.2 2.4 2.6
e 将来への見通しが立たず,気力が湧かない。 2.0 2.1 2.3
f 学校に行きたくないとよく思う。 1.8 1.9 1.9
g 私には友人がいない。付き合いがうまくいかない。 1.3 1.4 1.3
h 私はいじめられている。 1.1 1.1 1.1
i からかわれたり手を出されることがあり,いやだ。 1.3 1.3 1.3
j 言葉や態度で傷つけられることがある。 1.4 1.5 1.5
k クラスの中に改めるべき問題がある。 1.5 1.6 1.9
l いじめたりいじめられたりしている人がいる。 1.3 1.3 1.5
m 人が私をどう思っているのかとても気になる。 2.2 2.3 2.2
n 家族には,悩みがあっても相談できない。 1.7 1.8 1.8

問B 【 朝日高校に「いじめ」はありますか。あるとすればどのようなことですか 】 について(自由記述)
 ○「知っている限りではない」「あまりない」「目撃したことはない」「知らない」が多数の意見でした。
 ○「からかい」「陰口」「悪ふざけ」「冷笑」「特定の人を避ける」「成績で人を差別」などいじめとも思える事ならたくさんあるという意見も少数ありました。

問C  【 もしもいじめにあったり、悩んでいる友人がいたら,あなたはどうしますか 】 について(自由記述)
 ○「相談にのる」「一緒に改善策を考える」「積極的に話しかける」「両方の話を聞き仲裁をする」「先生や親に相談する」「孤立させない」「陰ながら手助けする」など、解決について積極的な記述が例年以上に多くみられました。
 ○「何もできない」「放置する」「自分で乗り越えるしかない」という回答も少数ですがありました。解決にむけて、多くの人が自分なりにできそうな事を考えて回答してくれたことを嬉しく思いました。この思いがクラス全体、学校全体に広がってくれることを期待しています。

 教育相談課では,悩んだり迷ったりしている人の支援をします。いじめられている人,いじめている人,何も出来ずにいる人,どんな生徒の話もその人の立場で聴かせてもらいます。何かすっきりしない思いを抱えて苦しいときには遠慮なく相談に来てください。また,これっていじめかな?と思うようなことを見聞きした時にもぜひ話をしに来てほしいと思います。
 私たちはいつもあなたのそばにいること,そして,あなたにはかけがえのない未来があること,忘れないでください。あなたは決してひとりではないのです。


 ピア・サポート活動報告
 あたたかな学校風土の構築のために、生徒が様々なトレーニングを受けた後、日常生活の中で自分で計画したサポート活動を行い、仲間同士の人間関係を豊かにしたり、問題を解決したりする「ピア・サポート活動」。朝日高校では平成19年度から取り組んでいます。本年度は、以下のような日程で、トレーニングやフォローアップセッション、研修会等を実施し、新たに23名の元気なサポーターが活動しています。
  ○平成23年度 ピア・サポート活動日程○
6月22日(水) ピア・サポート・ガイダンス
        活動の概要を知り、8月のトレーニングの説明を受ける。
8月 2日(火) トレーニング第1日    【】内は指導者名
        ガイダンス【大西由】 人間関係作り【池本】
        話の聴き方①:聴く構え【柴田】  話の聴き方②:聴き方演習【池本】
        自己理解(エゴグラム)【南】
8月 3日(水) トレーニング第2日
        リラクセーション【神田】
        対立の解消【福岡教育大学 西山先生】
        個人プランニング【大西由】
        ※以降、各自で活動(学校内・各家庭で)
8月25日(木) フォローアップセッション①活動の報告・改善・計画の修正等
10月26日(水) フォローアップセッション②LHRリハーサル
11月17日(木) LHR「話の上手な聴き方を学ぼう」司会進行
12月21日(水) フォローアップセッション③活動のまとめ

   11月17日のLHRのひとこま
 ピア・サポーターたちは、自分で計画した活動をできる範囲で精一杯行っています。中には、文化祭の準備期間にクラスの中で起きた対立を、学んだスキルを使って解消する方向へ向けたという例もあります。日常的にはあいさつをする、黒板消しをする、配布物に気を配る、困っている人に声をかけるなど、サポーターの自覚を持って生活しています。本年度は、保健委員とも協力して、1,2年生全員対象の「聴き方」のLHRの司会を担当しました。なかなか静かにしてくれないクラスで困った司会者もいたようですが、おおむね司会進行の手引きを頼りに、担当者で協力して意義あるLHRを進行してくれたようで頼もしく感じています。
 ピア・サポーターは、これからも明るく元気に活動していきます。応援してください。(yumi) 
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