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『相談課便り』第59号 コンテンツ
スポーツの魅力 臼井 正徳
5%還元に思う 信宮 優子
島を巡りて・・・ 山下 知子
「いじめ問題・悩みに関する調査」結果の概要 髙岡 麻衣
<令和元年12月発行>
 <表面>
 <裏面>

 スポーツの魅力    臼井 正徳
 「スポーツの魅力」は一言二言では言い表せるものではない。そして,選手や指導者,応援する人,支援する人によってもその感じ方はそれぞれ違う。私はいくつかのスポーツを経験し,今現在,体育教師として28年が経過した。その中で私が思う「スポーツの魅力」とは,スポーツはまさに人生そのものであるということである。生きていくために必要な力をスポーツを通して身につけていくのである。勝負に勝つために不可欠なことが,厳しい荒波の中を生き抜くための力になるものである。私は幼少期から体を動かすことが好きで,日が暮れるまで毎日遊び回っていた。小学生では水泳・剣道・ソフトボールを経験し,負けず嫌いな性格はどんどん確立されていった。その後中学生の時に出会った陸上競技が私の人生を変えるものとなった。人には当然負けたくなかったが,何より自分に負けたくなかった。だからこそ記録との勝負である陸上競技というものにのめり込んでいった。目標を達成するためには,自分の日々の努力と忍耐力も必要だったが,仲間と切磋琢磨しながら厳しさを乗り越えていく日々も充実していた。そんなスポーツを子どもたちに伝えていきたいと熱望し,体育教員を目指した。指導者と現役選手の二足のわらじではあったが,42歳まで競技を続けた(大学卒業後は跳躍種目から投擲種目に変更したが…)。指導者になってからは,発想や思考の幅が広がり,私はスポーツの魅力へどんどん引き込まれていった。陸上競技はまさに「人生の縮図」であると感じている。揺るがない覚悟を持ち,あくなき努力をいかに発揮するかは私自身の指導理念でもある。そして共に汗と涙を流してきた仲間を大切にし,多くの人に支えられていることへの感謝の念を忘れないことだ(実るほど頭を垂れる稲穂かな)。来年はいよいよ東京でオリンピック・パラリンピックが開催される。先人たちが成し遂げた偉大なる金字塔に勇敢に立ち向かう努力の天才たちから,再び大きな感動をもらえることを今から楽しみにしている。

 5%還元に思う    信宮 優子
  5%還元ののぼりが,スーパーの前で自慢気にはためいている。
 年が明ければ85になる母は,クレジットカードも携帯電話も持たない人で,今回の還元キャンペーンの導入にあわせて,スマホを持つことを勧めてみた。すると首を振って曰く,「得になることはよく分かるが,その得が損になる」もちろん経費や維持費がかかることが問題の一つではある。だがもっと大きな問題はスマホを持つことによって生じる自分の気持ちにある,と言うのだ。管理をしないといけない。新しいことを習うのは嫌いじゃないが,そんなたくさんの機能は覚えられない。電話もメールも来たら受けなければならない。持つことでストレスがたまる。簡単に言えば私にはいらない。それが得だとしても。
 語る母の顔になにか清々しいものを感じて,すごすごと引き下がった。
 情報化時代になり,世はお得情報でいっぱいだ。私のスマホにも,キャンペーンやセールの情報が毎日入ってくる。知らないと損をすることも多いから情報を得ることが生活の一部になっている。情報取得にやっきになる。損をしたなと悔しがる。財布はポイントカードでぱんぱんだし,しなくていいwebアンケートで個人情報を流している。メッセージの削除は日課だし,新商品のページに誘導され時間を使う…。母の話を聞いて,損をしているのは自分の方か,と様々なシーンが思い当たった。
 「損して得取れ」「遠回りが近回り」教えられた言葉を思い起こせば,母の生き方はこうなのだと納得する。魅惑的な近道に引き寄せられることが多い昨今だが,その近道が本当に「得」かどうかは,広い目長い目で見ないとわからない。意識的に回り道の持つ価値に目を向けていかないと大切なものを見失う。そんな感覚を思い出させてくれた時間だった。いくつになっても,母おそるべし。
 やせ我慢で頑なにも思える母はクラシックながま口財布を二つも持ち歩くおばあさんで,今日も還元なしの8%10%税込代金を快く払っているはずだ。買い物をする際にはきっちりと小銭を出す性質だから,コンビニやスーパーでは,店員さんや後ろに並んでいる人をイラっとさせているのではないかと心配もする。でもそれはキャッシュレス社会を肩風切って歩く人達が,母のような古い人間の価値観を,多少なりとも理解する機会であるとも思う。どうか母の支払いを根気強く待ってやってくださいと,5%ののぼりを見て願うばかりである。

                               

 島を巡りて・・・    山下 知子 
 今年は,第4回瀬戸内国際芸術祭が行われました。昨年末には海外メディアから2019年に世界で行くべき所の一つに取り上げられ,世界的にも注目されるようになりましたが,我が家では,2010年の初回開催から毎回この芸術祭に足を運んでいます。その多くは,瀬戸内の船旅からスタートし,土地の暮らしや風景も楽しみながら,島の風土や自然に根づいた現代アートを鑑賞します。  
今回,春には豊島,夏には小豆島・高松・直島,秋には直島・男木島・伊吹島に行ってきました。どんだけ好きなん!!と,我ながらビックリしますが,その都度,とても幸せな気持ちに満ち溢れて帰路につきます。島旅は船便も限られているので,一日で回れる場所には限りがありますが,以前は車で回った場所でも,バスや自転車,足を使って巡ることで新たな発見もあります。健康のためのウォーキングも兼ねて,時には海を眺め,時には山の中を,そして時には路地裏の坂道をてくてくと歩くことも,とても気持ちが良いものです。また,アート作品だけでなく,お祭りや伝統芸能など,その日・その場所でなければ体験できない各種イベントも楽しめます。島のお祭りは,地域の繋がりや熱気が感じられてとても魅力的です。岡山からのお出かけは,天気が良い日を選んで日帰りで行けるのも嬉しいところです。
日常を離れて,アートのある島々をゆっくり巡る・・・。みなさんもいかがですか?
 


 
 「いじめ問題・悩みに関する調査」結果の概要    髙岡 麻衣
   教育相談課では,今年も全学年を対象に「いじめ問題・悩みに関する調査」を行いました。長年,継続的に実施しているもので,毎年この冬の号で結果報告をしています。学校の中で「いじめ問題」が起こっていないか,また日頃生徒がどのような思いや悩みを抱えているのか等を調査しています。その結果を経年比較することや共に考えることで,新たな気づきや行動変容も生まれてきます。調査結果は,落ち着いた高校生活が送れるように全ての教員で共通理解を図り,様々な問題に迅速に対応できるよう協議しています。

令和元年度調査日 3年生:5/23(木)LHR 1.2年生:9/19(木)LHR

☆全体的な傾向・各学年の特徴
 例年と同じく各学年とも他項目と比べてややポイントが高くなっているのが「体調をよく崩す」「勉強の仕方」「将来の見通し」「他人からの評価」です。学年に関係なく多くの生徒が勉強面や将来についての悩みを抱えており,不安や焦りなどの気持ちも大きいようです。高校生は他者との関係の中で自意識が高まる時期なので,「他人からの評価」のポイントも高くなっています。
 1年生は,2,3年生と比べると「クラスの中に問題がある」の項目で数値が高くなっており,朝日祭等のクラス活動を通して人間関係の壁にぶつかったり,悩みながらも成長していく過程であることが伺えます。
 2年生は,「体調をよく崩す」「友人関係の悩み」「学校に行きたくない」などの項目が1年調査時より増加している一方で,「友人がいない」「クラスの中に問題がある」などの項目が減少するなど,学校生活を送る中で集団としてのまとまりが出てきた様子が感じられます。
 3年生は,1・2年調査時と比べるとほとんどの項目で数値の減少がみられます。「勉強の仕方」「将来の見通し」の項目でも学年があがるにつれ少しずつ減少しており,高校生活の中で自分自身と向き合いながら自己実現を目指そうとしている姿が感じられます。また,「友人関係の悩み」「家族に悩み相談できない」の項目も減少しています。家族や友人とも良い関係を築きつつ,様々な不安を乗り越えようとしている姿が推察されます。 

問A 【いじめ・悩みについての質問】の結果 (抜粋)

「問A」質問事項 3年 2年 1年
 a 生活のリズムが整わず,体調をよく崩す。 1.9
2.0 1.9
 b 友人関係で悩むことがよくある。 1.6 1.7 1.7
 c 学校内に信頼して相談できる人がいない。 1.6 1.5 1.6
 d 勉強の仕方がわからず,集中できない。 2.1
2.2 2.1
 e 将来への見通しが立たず,気力が湧かない。 2.0
2.2 2.1
 f 学校に行きたくないとよく思う。 1.8 1.9 1.8
 g 私には友人がいない。付き合いがうまくいかない。 1.3 1.2 1.3
 h 私はいじめられている。 1.1 1.1 1.1
 i からかわれたり手を出されることがあり,いやだ。 1.2 1.2 1.2
 j 言葉や態度で傷つけられることがある。 1.2 1.3 1.3
 k クラスの中に改めるべき問題がある。 1.3 1.4 1.6
 l いじめたりいじめられたりしている人がいる。 1.1 1.2 1.2
 m 人が私をどう思っているのかとても気になる。 1.9 2.1 2.1
 n 私のことをわかってくれる人は一人もいない。 1.3 1.3 1.3
 o 家族は私に過剰に期待をかける。 1.6 1.6 1.6
 p 家族には,悩みがあっても相談できない。 1.5 1.6 1.5
 q 私の落ち着ける場所はない。 1.3 1.3 1.3
  1:あてはまらない 2:あまりあてはまらない 3:ややあてはまる 4:あてはまる 
                                           の4件法で回答し,平均値を表す
 *回答は、最高値4 最低値1・・・数値が小さい方が良い状態となります。

☆思春期について
 思春期は,身体の変化以上に心の変化に戸惑いながら成長する時期です。とても不安定であり,自分自身をコントロールするのが難しくなります。親からの自立も本格的になり,「自立したい」気持ちと,自立の不安からの「甘え」の間で揺れ動きます。また,友人関係でも他者からの評価に敏感になったり,自分への関心が高まり,自分自身がどうありたいかを考えるようになります。誰もが一度は通るけれど,一度しかないこの時期に,多様な他者との関わり合いや様々な経験をどれだけ積めるかということがその先の人生においても重要になっていきます。失敗や傷つくこともあるけれど,必要以上に恐れずにこの時期を謳歌してほしいと思います。我々教員は,生徒が自己実現していく過程を信じて見守り,生徒がSOSを発しているときには救いの手をさっと差し出してあげられるような存在でいたいと思います。

☆いじめの実態について
 いじめに関連した項目は,質問h~lまでになります。その数値は高くはないものの,毎年皆無ではありません。今年の調査では,いじめと断定できるようなものはなかったものの,嫌がらせについての具体的な内容の記載もあったため,担任や各関係者等により早急に対応をしています。また,表面的には見えづらいけれど,ネットやSNS上など,教員の目の届きづらいところで傷つき体験をしている生徒はいるようです。

問B 【朝日高校に「いじめ」はありますか。あるとすればどのようなことですか】 について(自由記述)
 「知っている限りではない」「ないと思う」「見たことはない」「知らない」が多数の意見でしたが,少数ながら「暴言,悪口,嫌がらせ,からかい,仲間はずれ」「学力の差によるいじめ,偏見,差別」「表面上ではないがネットやSNS上ではある」などの記述もみられました。また,「友達へのいじりがその友達にとってどれくらい重いものなのかわからない」「いじるといじめるの境界線は何なのか」など,友達同士の関わり合いの延長でも受け取る側にとってはいじめとなり得るようなものの記述もありました。この調査では記名がある場合とない場合がありますが,調査回収後,気になる事例については,まずは担任・学年団,そして教育相談課が必ずフォローしています。
☆知ってほしいこと・訴えたいこと(自由記述)では、こんな声もありました!
  ・クラス全体を見ていて,少し一人でいることが多い人がいる。問題であるかはわからないがなんとなく気になる。(3年生)・・・周りの人に目を向けて,「なんとなく気になる」というこの感覚は,とても大切なものだと思います。周りに困っている人はいないか,その人のために自分に出来ることは何かあるだろうか,と考える思いやりの心が感じられて,とても温かい気持ちになりました。朝日高校には,仲間同士で支援し合うための考え方やスキルを身につける「ピアサポート」という活動があります。教員や保護者にはなかなか言えない胸の内も,友達には話せる,という生徒もたくさんいるのではないでしょうか。ピアサポートの広がりが根付くことを期待しています。
 ・忙しすぎて勉強に手がまわりません。/これからの高校生活の中で,授業についていけるかどうか不安です。(1年生)・・・1年生は,朝日高校に入学後,授業のスピードやレベルの高さ,クラスメイトの学力の高さに衝撃を受けつつも,がむしゃらに勉強に取り組んできたことと思います。中には,中学生までの「できていた自分」と高校入学後の「できない自分」のギャップに悩んだり,自信を失いそうになっている人もいると思います。そんなときほど,周りと自分を比べてしまいがちです。これだけたくさんの優秀な生徒が集まっているのだから,「自分よりよく出来る人」がいるのは当然のこと。周りと比べて悲観的になるのではなく,自分自身の目標をしっかりと持ちそこに向かって努力し,自分の中の伸びしろを大切にしてほしいと思います。最大の敵は,自分自身です!
 
 
 本校では「いじめ問題」等の実態を把握した際には,学年団をはじめ教育相談課・各関係者等で対策を協議し,毅然とした態度でその解決に努めています。何か気になることや心配事などがある時には,遠慮なく教育相談課や保健室に相談に来てください。また,今年度より,生徒が匿名によるいじめ等の相談・報告を行うことができるアプリ「STOPit」を導入しています。いじめを受けていたり,いじめに周りで気付いたが,直接相談に行くのは行きづらい…という方は,アプリの活用も検討してみてください。あなたは決してひとりではないことを忘れないでくださいね(*^_^*)                                


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