教育相談課では,今年も全学年を対象に「いじめ問題・悩みに関する調査」を行いました。長年,継続的に実施しているもので,毎年この冬の号で結果報告をしています。学校の中で「いじめ問題」が起こっていないか,また日頃生徒がどのような思いや悩みを抱えているのか等を調査しています。その結果を経年比較することや共に考えることで,新たな気づきや行動変容も生まれてきます。調査結果は,落ち着いた高校生活が送れるように全ての教員で共通理解を図り,様々な問題に迅速に対応できるよう協議しています。
令和元年度調査日 3年生:5/23(木)LHR 1.2年生:9/19(木)LHR
☆全体的な傾向・各学年の特徴
例年と同じく各学年とも他項目と比べてややポイントが高くなっているのが「体調をよく崩す」「勉強の仕方」「将来の見通し」「他人からの評価」です。学年に関係なく多くの生徒が勉強面や将来についての悩みを抱えており,不安や焦りなどの気持ちも大きいようです。高校生は他者との関係の中で自意識が高まる時期なので,「他人からの評価」のポイントも高くなっています。
1年生は,2,3年生と比べると「クラスの中に問題がある」の項目で数値が高くなっており,朝日祭等のクラス活動を通して人間関係の壁にぶつかったり,悩みながらも成長していく過程であることが伺えます。
2年生は,「体調をよく崩す」「友人関係の悩み」「学校に行きたくない」などの項目が1年調査時より増加している一方で,「友人がいない」「クラスの中に問題がある」などの項目が減少するなど,学校生活を送る中で集団としてのまとまりが出てきた様子が感じられます。
3年生は,1・2年調査時と比べるとほとんどの項目で数値の減少がみられます。「勉強の仕方」「将来の見通し」の項目でも学年があがるにつれ少しずつ減少しており,高校生活の中で自分自身と向き合いながら自己実現を目指そうとしている姿が感じられます。また,「友人関係の悩み」「家族に悩み相談できない」の項目も減少しています。家族や友人とも良い関係を築きつつ,様々な不安を乗り越えようとしている姿が推察されます。
問A 【いじめ・悩みについての質問】の結果 (抜粋)
「問A」質問事項 |
3年 |
2年 |
1年 |
a 生活のリズムが整わず,体調をよく崩す。 |
1.9
|
2.0 |
1.9 |
b 友人関係で悩むことがよくある。 |
1.6 |
1.7 |
1.7 |
c 学校内に信頼して相談できる人がいない。 |
1.6 |
1.5 |
1.6 |
d 勉強の仕方がわからず,集中できない。 |
2.1
|
2.2 |
2.1 |
e 将来への見通しが立たず,気力が湧かない。 |
2.0
|
2.2 |
2.1 |
f 学校に行きたくないとよく思う。 |
1.8 |
1.9 |
1.8 |
g 私には友人がいない。付き合いがうまくいかない。 |
1.3 |
1.2 |
1.3 |
h 私はいじめられている。 |
1.1 |
1.1 |
1.1 |
i からかわれたり手を出されることがあり,いやだ。 |
1.2 |
1.2 |
1.2 |
j 言葉や態度で傷つけられることがある。 |
1.2 |
1.3 |
1.3 |
k クラスの中に改めるべき問題がある。 |
1.3 |
1.4 |
1.6 |
l いじめたりいじめられたりしている人がいる。 |
1.1 |
1.2 |
1.2 |
m 人が私をどう思っているのかとても気になる。 |
1.9 |
2.1 |
2.1 |
n 私のことをわかってくれる人は一人もいない。 |
1.3 |
1.3 |
1.3 |
o 家族は私に過剰に期待をかける。 |
1.6 |
1.6 |
1.6 |
p 家族には,悩みがあっても相談できない。 |
1.5 |
1.6 |
1.5 |
q 私の落ち着ける場所はない。 |
1.3 |
1.3 |
1.3 |
1:あてはまらない 2:あまりあてはまらない 3:ややあてはまる 4:あてはまる
の4件法で回答し,平均値を表す
*回答は、最高値4 最低値1・・・数値が小さい方が良い状態となります。
☆思春期について
思春期は,身体の変化以上に心の変化に戸惑いながら成長する時期です。とても不安定であり,自分自身をコントロールするのが難しくなります。親からの自立も本格的になり,「自立したい」気持ちと,自立の不安からの「甘え」の間で揺れ動きます。また,友人関係でも他者からの評価に敏感になったり,自分への関心が高まり,自分自身がどうありたいかを考えるようになります。誰もが一度は通るけれど,一度しかないこの時期に,多様な他者との関わり合いや様々な経験をどれだけ積めるかということがその先の人生においても重要になっていきます。失敗や傷つくこともあるけれど,必要以上に恐れずにこの時期を謳歌してほしいと思います。我々教員は,生徒が自己実現していく過程を信じて見守り,生徒がSOSを発しているときには救いの手をさっと差し出してあげられるような存在でいたいと思います。
☆いじめの実態について
いじめに関連した項目は,質問h~lまでになります。その数値は高くはないものの,毎年皆無ではありません。今年の調査では,いじめと断定できるようなものはなかったものの,嫌がらせについての具体的な内容の記載もあったため,担任や各関係者等により早急に対応をしています。また,表面的には見えづらいけれど,ネットやSNS上など,教員の目の届きづらいところで傷つき体験をしている生徒はいるようです。
問B 【朝日高校に「いじめ」はありますか。あるとすればどのようなことですか】 について(自由記述)
「知っている限りではない」「ないと思う」「見たことはない」「知らない」が多数の意見でしたが,少数ながら「暴言,悪口,嫌がらせ,からかい,仲間はずれ」「学力の差によるいじめ,偏見,差別」「表面上ではないがネットやSNS上ではある」などの記述もみられました。また,「友達へのいじりがその友達にとってどれくらい重いものなのかわからない」「いじるといじめるの境界線は何なのか」など,友達同士の関わり合いの延長でも受け取る側にとってはいじめとなり得るようなものの記述もありました。この調査では記名がある場合とない場合がありますが,調査回収後,気になる事例については,まずは担任・学年団,そして教育相談課が必ずフォローしています。
☆知ってほしいこと・訴えたいこと(自由記述)では、こんな声もありました!
・クラス全体を見ていて,少し一人でいることが多い人がいる。問題であるかはわからないがなんとなく気になる。(3年生)・・・周りの人に目を向けて,「なんとなく気になる」というこの感覚は,とても大切なものだと思います。周りに困っている人はいないか,その人のために自分に出来ることは何かあるだろうか,と考える思いやりの心が感じられて,とても温かい気持ちになりました。朝日高校には,仲間同士で支援し合うための考え方やスキルを身につける「ピアサポート」という活動があります。教員や保護者にはなかなか言えない胸の内も,友達には話せる,という生徒もたくさんいるのではないでしょうか。ピアサポートの広がりが根付くことを期待しています。
・忙しすぎて勉強に手がまわりません。/これからの高校生活の中で,授業についていけるかどうか不安です。(1年生)・・・1年生は,朝日高校に入学後,授業のスピードやレベルの高さ,クラスメイトの学力の高さに衝撃を受けつつも,がむしゃらに勉強に取り組んできたことと思います。中には,中学生までの「できていた自分」と高校入学後の「できない自分」のギャップに悩んだり,自信を失いそうになっている人もいると思います。そんなときほど,周りと自分を比べてしまいがちです。これだけたくさんの優秀な生徒が集まっているのだから,「自分よりよく出来る人」がいるのは当然のこと。周りと比べて悲観的になるのではなく,自分自身の目標をしっかりと持ちそこに向かって努力し,自分の中の伸びしろを大切にしてほしいと思います。最大の敵は,自分自身です!
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本校では「いじめ問題」等の実態を把握した際には,学年団をはじめ教育相談課・各関係者等で対策を協議し,毅然とした態度でその解決に努めています。何か気になることや心配事などがある時には,遠慮なく教育相談課や保健室に相談に来てください。また,今年度より,生徒が匿名によるいじめ等の相談・報告を行うことができるアプリ「STOPit」を導入しています。いじめを受けていたり,いじめに周りで気付いたが,直接相談に行くのは行きづらい…という方は,アプリの活用も検討してみてください。あなたは決してひとりではないことを忘れないでくださいね(*^_^*)
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