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同書のカバー |
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本校における初の校史は、平成16年(2004)に刊行された『岡山県立岡山朝日高等学校の生い立ち、戦前篇』であるが、実は執筆者にとっても、編集を担当した同窓資料館(現在は資料館)にとっても、この書は当初より、校史『本編』ではなく、一般の方々を読み手とした普及版であり、将来編まれるはずの『本編』のパイロット版とみなしていた。そのため、取り扱う時代を現在の校地(移転当時は国富校舎と呼ばれた)に移転するまでに限定した上で、資料にあたる部分や註を削ぎ落とし、350頁程度に圧縮して出版された。とはいえ、校史『本編』の編集は諸般の事情でなかなか進捗せず、校史『本編』よりも、『資料編』の刊行を優先しようという発想が生まれた。旧制中学校時代の資料を中心に、学則、尚志会規則などの規則、カリキュラム類、学校要覧、生徒募集要項、入試問題など、また校誌『尚志会雑誌』『烏城』などに掲載され本校の歴史を考える上で重要かつ基本となる資料、『山陽新報』(山陽新聞の前身)等に掲載された本校に関わる記事などを系統的に収録し、将来刊行される『本編』の資料集とすることを考えた。また、近代中等教育史における本校の役割に考慮して、教育史をフィールドとする研究者の利用に堪えうる資料集に仕上げるべく取り組んだのが、校史『資料編』である。
『資料編T』として採り上げたのが、旧制入学の入試である。資料が残る明治20年代半ばから旧制中学最後の入試となった昭和21年までの問題をオリジナルの問題を含めて集め、活字化を試みた。とはいえ、近代における日本の入試制度は幾度となく変化し、その変化は極めて複雑である。岡山県においても同様であった。その状況をわかりやすく紹介するために、『戦前篇』を執筆した後神俊文氏による解説を付すことにした。それゆえに、入試問題集と解説編の2部構成となっている。B5判、396頁。 |
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