◆『相談課便り』第17号◆ ようこそ! 岡山朝日高等学校のホームページです
  
『相談課便り』第17号 コンテンツ
教育相談課について
相談係の自己紹介
学校医によるこころの健康相談
スクール・カウンセラーによる相談
生徒のセクシャルハラスメント等の相談
「ピアサポートによせる思い 続編」 池本 しおり


<平成21年6月発行>
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 <裏面>

 教育相談課について
  教育相談課では「安心して相談できる場」の提供を最も重要なこととして考えています。深刻な相談だけでなく,ささいな気がかりであっても,どうぞお気軽にご利用ください。面接相談と,電話相談の両方を行っています。また,生徒からの相談のみならず,保護者の皆さんや教職員からのご相談にも対応させていただきます。スタッフは9人で,次のような方針で相談活動を行っています。

 @相談に来たあなたが主人公です            A秘密は厳重に守られます
 B気持ちを大切に,共に考える姿勢を大切にします  C予防的・開発的教育相談も提供します



 相談係の自己紹介
1年団 体育 時岡英雄
 今年,朝日高校に転勤してきました。朝日高校のOBです。高校生の頃はサッカーに没頭でした。人が最も変化・成長していける時期に,この朝日高校で育てられ,見守られていたことに感謝と誇りを持っています。毎朝,通勤時に昇る日(朝日)を見ながらエネルギーを充電しています。みんなも,エネルギー一杯,元気に学校生活を送っていこう。

1年団 英語 柴田みさえ
 新学年がスタートした時には桜が満開でしたが,もうその桜の木も青々とした葉を茂らせています。時とともに変化しているのですね。心の状態も時とともに変化しているはずですが,はっきりと見たり感じたりできないので,不安になってしまうこともあると思います。そんな時は誰かと話をしてみてはどうでしょう。とりとめのない話でもほっとすることがあるかもしれません。いつでも声をかけてください。

1年団 養護助教諭 万代侑佳
 新学期が始まり,“新しい”クラス,“新しい”出会いの中,みなさんはどんな学校生活をスタートさせたでしょうか?私はこの春大学を卒業し,朝日高校に勤務することになりましが,学校生活の中で,みなさんから毎日“新しい”発見をもらっています。これから様々な経験を通して,みなさん自身にも“新しい”何かを見つけてもらいたいと思います。保健室にもぜひきてくださいね。

2年団 理科  高祖幸男
 新学年,新学期がスタートして約一ヶ月,そろそろ新しいクラスに慣れ,生活のリズムが確立されたでしょうか。新しい友だちはできましたか。人間関係をつくっていくのは最初は少し緊張したりします。でも,学校生活の中でともに喜びあったり,素直に感動しあったり,悲しんだり,そんな中で互いに支え合える・・・・そんなつきあいがたくさんできるのも高校時代の特権かもしれません。気軽につきあえる,いろんな話ができるそんな友だちをたくさんつくってみてはどうでしょうか。

2年団 養護教諭  松本雅子
 新入生の人,相談室と保健室の場所はもうわかりましたか?保健室には毎日いろんな生徒がやってきては,様々な話をしていきます。クラスの中で気疲れすること,勉強が大変なこと,朝から腹が立ったことなど・・。保健室では,一人一人の思いを一生懸命聞くことを大切にしています。心も身体と同じように大切に扱ってあげたいと思っています。保護者の方のお話もお聞かせください。今年も何卒よろしくお願いいたします。

2年団 理科 中須加由希
 朝日高校勤務は2年目の私は,学校現場も2年目です。去年は,よく身近な人々に「高校生の時どんなことを考えていた?」と聞いていた気がします。そんな中で,高校時代の親友とは,思い出話に笑い涙し,素敵な時間を過ごすことができました。高校で過ごす時間はやはり尊いものだと感じます。今年は,できる限り皆さんに混じり,皆さんの見ている世界を一緒に見てみたいと思います。さまざまな所に出没するかもしれませんが,発見したら気軽に声をかけてください。

3年団 国語 池本しおり
 3年目を迎えたピアサポート。今年度は従来と少しスタイルを変え,生徒の皆さんが参加しやすい形にしようと考えています。学年団を通じてまた案内がありますので,興味をもった人はぜひ参加してください。
 将来「カウンセリング」や「臨床心理学」を学びたい人,「教員」「看護士」「医師」など,人を支援する職業を考えている人にも,とても役立つ内容です。また,将来の職業とは関係なくても,ほっとする時間をもちたい人,自己の成長をはかりたい人,コミュニケーション能力を高めたい人など,だれでも参加することができます。あなたの参加を待っています!

3年団 地歴公民 永田宏子
 操山の若葉がまぶしい季節になりました。さわやかな風の中,体育や部活に汗を流している姿を見るとこちらも気持ちよくなります。新しい学校,新しいクラスでの緊張感も少し和らいできていると思いますが,いっしょにお弁当を食べる友達はできましたか? もしも新しい環境の中でしんどいな,辛いなと思うことがあったら,相談室の先生に「ちょっといいですか?」と声をかけてみてください。小さな相談,歓迎します。

3年団 国語 大西由美
 生徒の皆さん,勉強にも運動にも最適のよい季節ですね。でも,よい時期は短くすぐに暑くなったり,寒くなったり… それでも毎日,目標を持って生活していると,厳しい環境もものともせず,乗り越えられるものです。一方,苦しくて辛くて仕方がない…どうしたらいいのだろうと悩むときがあります。誰にでもあります。そんなときは,相談室を思い出してください。笑顔のヒントがあるかもしれませんから。
                              

 学校医によるこころの健康相談
 本校では精神科校医の中野善行先生による「こころの健康相談」を年間5回計画し,各回ごとにご案内を差し上げています。専門のお立場からの支援をいただき,毎回好評をいただいています。
 第1回目は終わりましたが,このあと7月・9月・11月・2月に実施する予定です。教育相談課(池本しおり・松本雅子)または担任までお申し込みください。
  TEL  272−1271(岡山朝日高校)

 スクール・カウンセラーによる相談
 昨年度に引き続き,スクールカウンセラーとして森口章先生においでいただきます。今年度は年間12回に増えました。森口先生は高校の教師をご退職後,現在は「沢田の杖塾」を主宰され,山陽新聞の相談欄を担当されたり,講演会に回られたり,多方面で活躍されています。本校では生徒や保護者の相談に応じていただいたり,研修会や事例検討会などにもお力添えをいただく予定です。

 生徒のセクシャルハラスメント等の相談
 みなさんがセクシャルハラスメント等のことで相談したいときには,次のスタッフが対応させていただきます。
   池本 しおり (国語科・教育相談課長)    西原 智子 (保健体育科・保健主事) 
   高祖 幸男  (理科・教育相談係)        松本 雅子 (養護教諭・教育相談係)

 「ピアサポートによせる思い 続編」  池本 しおり
 一年前に発行した『相談課便り13号』の続編を書かせていただきます。『相談課便り13号』は朝日高校のWebページ(「教育相談課」 → 「相談課便り」バックナンバー → 13号 )にも掲載されていますので,興味をもってくださった方は,そちらをお読みいただければ幸いです。
 さて,本校のピアサポート活動も3年目を迎えました。その間たくさんの生徒たちと活動をともにし,楽しい時間を共有してきましたが,いま改めて,なぜピアサポートが本校に必要であるかを再考してみたいと思います。
 ピアサポートは元来,ボランタリーなものであると考えています。ピアサポートとは「仲間支援」のことですから,太古の昔からあったはずです。人々が協力しなくては明日の命さえ保障されなかった時代においては,協力し支え合って生きることは,議論する以前の問題だったかもしれません。だからこそ,コミュニケーション能力や自己コントロール能力,仲間支援の力といった,いわゆる「社会性」「人間力」などと呼ばれるものが,人の成長していく過程で自然に育つものだったのではないでしょうか。そう考えるならば,ピアサポートなどという心理教育に頼って,意図的に教育するなどということは,たいそうおこがましいことのように思えますし,事実,私自身「大きなお世話」だと思いながら実践を続けてきました。
 しかし,そう思いながらも,私を実践に向かわせるなにかがあるのです。時代が移り変わり,現代は「社会性」「人間力」などと呼ばれるものが,自然に任せていたのではなかなか育ちにくい時代になったと感じます。そうであるからには,教育相談の立場から,積極的にそのようなものを育てる場を提供したいと考えています。もちろん,ピアサポートは魔法ではありませんし,万能でもありません。あくまでも生徒たちの成長を促す一つの方策であると考えています。
 以上のような思いから,本校でピアサポート活動を継続する理由を,大きく三点にまとめてみました。

(1)「人間関係の希薄な社会」「私事化(しじか)<privatization>社会」の中で,相互に助け合うことが少なく なってしまった現代。従来なら自然に身についていた「社会性」や「人間力」も育ちにくい状況のなかで 育ってきた子どもたち。本校の生徒たちも決して例外ではない。
(2)本校の教育目標である「自主自律」「自重互敬(じちょうごけい)」 のうち,「自主自律」を培うチャンス は比較的多い。しかしながら,「自重互敬」を涵養する機会が少ない。自分で考え,自らを律して行動で きる生徒こそが真の思いやりをもち,自分も相手も尊重できるとすれば,この両方をバランスよく育てる ことが求められる。
(3)本校の生徒たちは,将来社会のリーダーとして活躍する生徒が多い。そのような生徒を育てることを 意識した取り組みを提供したい。

 上記の(1)・(2)については『相談課便り13号』に詳細を記していますので,今回は「続編」として,(3)について記してみたいと思います。
 社会にはさまざまな集団が存在します。朝日高校の中にも学年団・学級・班・部・小グループなど数多くの集団がありますが,家に帰れば家族も集団の一つといえ,その家族もまた,さまざまな集団に属しています。そして,だれでもがたくさんの集団に属して生活しています。その集団の中には一般的にリーダーが存在し,その集団をリードしたり,まとめていったりしています。
 社会心理学のリーダーシップ論に「PM理論(社会心理学者,三隅二不二(みすみじゅうじ)が提唱)」という考え方があります。
 P機能(Performance function=目標達成機能):集団が生産性を高めるような働き
 M機能(Maintenance function=集団維持機能):集団のチームワークを維持・強化する働き

ということで,P(p)M(m)の組み合わせによって,次の4つの類型に分類されます。
4つの類型(大文字:強い/小文字:弱い)
PM型・・・・・・・・・目標を達成しつつ,集団の維持にも気を配る,リーダーの理想像
Pm型(P 型)・・ 目標を達成することができるが,集団を維持・強化する力が弱い。
pM型(M型)・・・ 集団を維持・強化する力はあるが,目標を達成する力が弱い。
pm型・・・・・・・・・ 目標を達成する力も,集団を維持・強化する力も弱い。

このことについてはさまざまな実証研究があり,どの類型のリーダーがより望ましいリーダーであるかを示したのが次のものです。集団効果の基準をどこにおくかによって,その結果が少し違っているのが,また面白いところです。

○集団効果の基準を「フォロアーの意欲・満足度,職場のコミュニケーション,事故の低発生率」に おいた場合 → PM型>pM型>Pm型>pm型
○集団効果の基準を「生産性」においた場合 → 短期的には PM型>Pm型>pM型>pm型
                                長期的には PM型>pM型>Pm型>pm型
となっています。以上のようなことから,「PとMを兼ね備えたリーダーが理想的である」「長期的に集団を維持・強化しながら一緒に仕事(協働)をしていく集団においては,M機能が特に重要である」ということがわかります。
 生徒たちが前述のような集団に所属しているのは言うまでもないことですが,彼らが将来さまざまな分野で活躍するようになったとき,どのようなリーダーになっていくのか。できることならば,人に信頼され,集団としての成果をあげ,目標も達成しながらよりよい集団をつくっていく人になってほしい。ピアサポート・トレーニングの中ではそのようなことを意識しながら,ワークショップ形式のトレーニングをしています。
 また,このような理論を知るだけでなく,実際にはどのような「言葉かけ」が「相手のやる気を引き出したり」,逆に「相手のやる気をそいだり」するか,というようなことも学んでいます。また,自己理解をはかることや,自己コントロールの方法,対立する両者の間に立って調停する方法を知ることなどにも重点を置いています。これらのことは,生徒たちがどのような立場におかれ,どのような役割を果たすようになろうとも,必要な資質や能力であろうと考えています。
 本校には講演会や座談会などでたくさんの社会人が来てくださいます。それらの方々は社会で活躍されている方ばかりですから,お話の内容には説得力があります。昨年の創立記念日に来てくださった本校OB,筑波大学大学院教授の山海嘉之先生もそのお一人です。先生は世界第一級の科学者であり,CYBERDYNE株式会社CEOでもいらっしゃいます。ロボットスーツHALは「まなびピア岡山」や「おかやま花だより2009」でも紹介されましたので,ご存知の方もおられると思います。ご講演後には「研究の最前線のお話が聞けて感動した」「研究にかける情熱に深い感銘を受けた」「広い視野で学ぶことの大切さがわかった」「(ある先生が)私は長くこの学校に勤めていますが,今までで最高の講演会でした」というような声もたくさん聞かれましたが,そのなかで最も多かったのが「山海先生のお人柄がすばらしかった」というものでした。山海先生のご研究のすばらしさは言うまでもありませんが,そのお人柄に多くの生徒や教職員が魅力を感じたようです。この日から,校内に「山海ファン」が急増したことは間違いありません。そのお話の中で「研究成果を社会に還元することが大切」「科学は人を幸せにするためにある」という主旨のことが何度となく出てきましたが,この哲学を日常生活の中でも自然に実践していらっしゃっるのだろうと思います。そのことが,お話しぶりやその内容,また生徒からの質問に対する丁寧な受け答えなどから伝わってきたのでしょう。
 生徒たちは,そのような社会の最前線で活躍する人たちのお話を聞く機会に恵まれ,「自分もこんなふうになりたい」とか「こんな生き方がしてみたい」と感じていると思います。そのようなモデルを目の当たりにしながら,将来に夢を描き,希望をもちながら大人になってもらいたいと願っています。そのときに,学校教育のなかで提案できる全人教育の一つとして,ピアサポートを提供できたらと考えています。ピアサポート活動を経験した生徒たちがPとMを兼ね備えた理想的なリーダーとなり,それぞれの分野で社会に貢献していくことを願いつつ,本年度もまた,楽しくいきいきと活動したいと思っています。

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