『相談課便り』第33号
『相談課便り』第33号
「教育相談課について」
教育相談課では「安心して相談できる場」の提供を最も重要なこととして考えています。深刻な相談だけでなく、ささいな気がかりであっても、どうぞお気軽にご相談ください。面接相談と、電話相談の両方を行っています。また、生徒からの相談だけでなく、保護者の皆さんや教職員からのご相談にも対応させていただきます。スタッフは10人で、次のような方針で相談活動を行っています。
①相談に来た人を主人公とします
無理に話をさせられたり、解決方法を強要されることはありません。あくまでも相談に来た人が主人公です。
②秘密は厳重に守られます
相談をする過程で知り得た個人に関わる情報や、相談の内容は、相談に来た人の了解なしに第三者に(例えば、担任の先生・顧問の先生などでも)話すことはありません。ただし、命にかかわるような場合や犯罪に巻き込まれる可能性の予測されるようあ場合は例外とします。しかし、このような場合もできるだけ本人の了解を取ることを基本としています。
③気持ちを大切に、共に考える姿勢で対応します
相談室では、魔法のような解決策が用意できるわけではありません。不登校の人が相談に来た翌日からすぐに登校できるような方法を提供できるとは限らないのです。だったら、相談しても仕方がないでしょうか?…いいえ。相談室では、相談に来た人の気持ちを大切にしながら、これからどうすればよいかを共に考えることはできると思っています。今の在り方をまずは受け入れることから始めて、本人の意志を尊重しながら、共に考える姿勢で取り組んでいます。
④予防的・開発的教育相談も提供します
教育相談として一般的に考えられている、悩み相談やカウンセリングなどは、問題解決的教育相談です。相談室では、こういった取り組みのほかに、リラクセーションや自己理解、コミュニケーションスキルなど、予防的・開発的教育相談も紹介しています。これらは、よりよく生きていくための指針になったり、問題が発生するのを未然に防ぐことに役立ったりするものです。
⑤特別支援の観点からも細やかに対応します
特別支援教育コーディネーターの先生を中心に、スクール・カウンセラーの先生、校医の先生、相談課のスタッフおよび担任など関係の先生方と連携することで、より効果的な支援ができるように対応します。
「学校医によるこころの健康相談」
本校では精神科校医の中野善行先生による「こころの健康相談」を計画し、各回ごとに文書でご案内を差し上げています。専門のお立場からのアドバイスやご支援をいただくことができます。本年度の第1回目は終わりました(5月30日)が、このあと7月・9月・11月・2月に実施する予定です。
「スクール・カウンセラーによる相談」
昨年度に引き続き、スクールカウンセラーとして森口章先生に来ていただいています。先生は高校の教師をご退職後、現在は「沢田の杖塾」を主宰され、山陽新聞の相談欄を担当されたり、講演会に回られたり、多方面で活躍されています。本校では、年間12回にわたって生徒や保護者の相談に応じていただいたり、研修会や事例検討会などにもお力添えをいただく予定です。今後の来校予定は以下の通りです。
6/11(火)7/16(火)8/21(水)9/27(金)10/30(火)11/13(水)12/11(水)1/14(火)2/4(火)3/19(水)
*「こころの健康相談」「スクールカウンセラーによる相談」は予約が必要です。
教育相談課(石原明子・神田美紀)または担任までお申し込みください。
TEL 272-1271(岡山朝日高校)
「生徒のセクシャルハラスメント等の相談」
生徒のみなさんがセクシャルハラスメント等のことで相談したいときには、
次のスタッフが対応させていただきます。担任も相談に乗ります。
石原明子(国語科・教育相談課長)
大口正行(保健体育科・保健主事)
時岡英雄 (保健体育科・教育相談係)
神田美紀 (養護教諭・教育相談係)
「ピア・サポート活動」★支え合う心を育て、あたたかな学校風土作りを目指します★
生徒の間に相互支援の力を育てるピア(仲間)サポート(支援)活動を、本年度も実施します。
この活動を通じて、生徒が自己肯定感を増し他者を尊重し(自重互敬)、いじめや不登校の起こりにくいあたたかい風土が築かれることを目指しています。希望者を募り(6月)、トレーニングを行い(8月)、夏休み後半から実際の活動に入ります。その後は、活動を報告したり新たな取り組みを考えるフォローアップセッションを実施します。トレーニングでは、「話の上手な聴き方」「自己理解」「リラクセーション」「対立の解消」などについて学びます。将来、教師や医師・看護師・保育士などの仕事に就きたいと考えている人には、ぜひとも学んでほしい内容ばかりです。本年度もたくさんの生徒の参加を待っています。
◆◇◆ピア・サポーターの活動紹介◆◇◆
24年度に実際にサポーターが行った活動について紹介します。
●意識的な声かけ活動
・毎日あいさつを自分から明るくする。・クラスのみんなに1日1回声をかける。
・困っている人にあいさつをして仲良くなりたい。
●相談活動
・悩みや困りごとがある人の相談にのる。・相談事などみんなの本当の気持ちに寄り添う。
●奉仕的活動
・ゴミの整理(分別)。・休み時間に黒板を綺麗にする。・部活での準備や片付けを積極的に行う。
・勉強のことを聞かれたら教えてあげる。
・クラスの中で小さなことでもみんなの役に立てることを見つけて、自分の役割にしたい。
●その他
クラスLHR「話の上手な聴き方を学ぼう」において、司会進行を務めました。
「相談課のスタッフ紹介」
25年度・相談課の先生方の自己紹介です。よろしくお願いいたします。
内田康晴 Yasuharu Uchida(3年H組乙担任・数学科)
朝日高校に赴任してまだ、1年しか経っていません。他にはない朝日高校の独特さにとまどうことの多かった昨年に続き、2度目の3年生の担当をしています。
今の関心事は、昨年作った玄関先の巣に戻ってきたツバメが産んだ卵が、無事孵って巣立ちの日を迎えるかどうかです。毎日どきどきしながら見守っています。
担当教科は数学で、夕方、数学準備室にぽつんといることも多いです。気が向けば、どうぞ話しに来て下さい。
永田宏子 Hiroko Nagata(3年A組乙担任・地歴公民科)
みなさん,こんにちは。3年生と1年生の世界史を担当し,空手道部と管弦楽部の顧問をしています。気持ちのいい季節になりましたが,皆さんの心の中も晴れ晴れしていますか? そうでもない? 嫌なこと,しんどいこと等いろいろあるかもしれませんね。私も同じです。でもそこを考え方でマイナスをプラスに変えたいなと思っています。一緒に悩みましょう!
坂本憲治 Kenji Sakamoto(2年G組甲担任・理科)
「青春時代」という言葉がまだ輝きを持っていた頃から、ずーっと青春期が続いているように感じていたのに、とっくの昔に終わってますよ、という声があちこちから聞こえてきます。確かに、いつか気づかないうちに、細かいことに拘って無意味に(今から思うとですが)悩みを抱え込んでいた自分はどこかに消えて、にっこり笑える自分になっていました。高校時代の自分に会えたら、悩んでいるその姿も微笑ましく思えるかなあ。
大西秀規 Hideki Oonishi(2年F組甲担任・数学科)
朝日高校で勤めてあっという間に1年が過ぎてしまいました。日々が忙しくて余裕がなく過ごしていても、何かホットとすることがあると気持ちが楽になります。生徒の皆さんも先生も大変だと思いますが、少しでもホットすることを作れるようにしたいと思います。よろしくお願いします。
大世戸麻衣 Mai Ooseto(養護教諭・2年団所属)
思春期は悩み多き時です。今考えると「なんともない」と思うことでも、日々の些細なこと(その当時の自分にとっては重大なこと)に深刻に悩んでいた高校時代を思い出します。そんなとき支えてくれるのは、友達であり、家族であり、先生でした。1人ではないことを感じると、それだけで心が軽くなりませんか。そんなお手伝いができればと思います。よろしくお願いします。
荒江昌子 Akiko Arae(1年C組甲担任・国語科)
1年と2年の国語を担当しています。最近の私の趣味はサイクリングなのですが、峠を登るときは常にいつ降りようかという気持ちと戦っています。上り坂ではいつも「もういやだ!」と思うのですが、峠を越えるその瞬間の景色が開けるときは最高なんです。そして登りがあれば、必ず下りがあります。私たちの日常もよく似てますよね。
時岡英雄 Hideo Tokioka(1年D組甲担任・保健体育科)
学校生活ではいろんなことが起こります。「Hap」は思いがけない出来事の意。そして運とかツキという意でもあります。ハプニングもまた幸運への兆し。そしてハッピーへ。何事もできれば楽しむのがいいなあ。
小野公生 Takao Ono(1年F組甲担任・理科)
全学年,そして補習科の物理を担当しています。私の授業は緊張の連続だと思います。そしてたまに緩和。人生においても緊張と緩和のほどよいバランスが大切です。このバランスが崩れそうなときには遠慮なく声を掛けてくれればと思います。
神田美紀 Miki Kanda(養護教諭・1年団所属)
みなさんは「心身相関」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉は「心」と「身体」という、一見対照的に存在しているような二つのものが相互に関係し、一体のものであるという見方を意味します。「心」が元気になると「身体」も元気に。その逆もよく保健室では目にします。私は、あなたの「心」と「身体」が少しでも元気になる
自分と他者のはざまで
石原 明子 Akiko Ishihara
テスト返却後のいつかのやりとり。
私 「よくがんばってたね」
生徒Aさん「いいえ、たまたまです」
私 「よくがんばってたね」
生徒Bくん「やった!今回は本気でやったんじゃ」
どちらの返答も「なるほど」です。Aさんの返答には誉められたことへの照れくささが感じられるし、Bくんの返答には誉められたことへの素直な喜びがあふれています。ちょっとしたやりとりではあるけれど、でも私はAさんの返答が少し気になってしまいました。まだ頑張れる、頑張ろう!という気持ちでいるからだとは思うのですが、今回の自分の頑張りに自分では納得がいってないのかな、と。
謙遜…これを私たちは一つの美徳と認識していると思います。もちろん、自分の行為を誇示することなく、「いえいえ」と言うことは美しいありようだと感じます。でも、もしかしていつでも「いえいえ、私なんて」と言ってしまっていることはないでしょうか。
他者との関係の中で、私たちは上手に謙遜することを学んでいきます。誉められて「そうでしょう。私もそう思っていたの」と言うと、人間関係がそれほど築かれてない相手だと、尊大だと思われかねません。ですから、誉められた時に「いえいえ、そんなことはありません」と言うことで、気持ちのすれ違いを避けようとするのかもしれません。
でも、自分が確かに頑張っていて、そのことを誰かが認めてくれたらやっぱりうれしいものです。自分の頑張りはなかなか自分から口にはしづらいものですし、ましてや自己満足のような、自分への甘やかしのような気がしてしまうもの。だからこそ、せっかく誰かが誉めてくれたなら、「いえいえ」と言うよりも、「ありがとう。うれしいです」と言える自分でありたいなと思っています。
謙虚…謙遜と似たような言葉ですが、私はこちらの言葉の方が好きです。どちらも自分を低く見なす立ち位置は同じですが、そこに立っている時のありようが違う気がするのです。少なくとも、誉め言葉で自分や自分の行為を認めてくれた他者をきちんと受け止めるありようだと感じるのです。
相手からの誉め言葉を「ありがとう」と受け止めること。そうした、他者に対して開かれたありようが謙虚という姿勢なのではないでしょうか。
私たちはたくさんの他者と関わり合いながら生活しています。自分を取り巻く社会が広がっていくにつれて、他者もどんどん増えてきます。母親、父親、家族、クラスメイト、部活動の友達、先生、コミュニティー・・・。そうしてさまざまな他者と関わる中で、自分を客観的に見つめることができるようになり、自分さえもが一人の他者として自分を律することができるようになっていくのだと思います。他者は自分の世界を広げてくれる大切な存在であり、自分が一人でないことを感じさせてくれる存在です。
そしてまた、私たちは自分と他者という両者の間で折り合いをつけながら生きています。その中で、つい他者の気持ちや見方を思いやるあまり、自分の気持ちを後ろへ後ろへと追いやってしまい、自分がしんどくなってしまうことも少なくないでしょう。
思いやりは他者と関わっていく上でもちろん必要なことです。でも、思いをやる相手には、自分にとって一番身近な他者でもある自分自身も含まれているはずです。他者の声に耳を傾け、心の声を聞こうとするのと同様に、自分の想いに思いを寄せてみることも大切なのではないでしょうか。
相談室を訪ねてくる生徒の多くは、他者の思いに敏感なあまり自分の思いを後回しにしてしまって、気持ちがしぼんでしまっているように感じます。自分の思いに正直になることはわがままと同意ではありません。他者を思いやる、その優しい生徒のありようを認めつつ、自分の気持ちがわかることの大切さや正直になることの心地よさもあわせて伝えていきたいと思っています。
(2年D組甲担任・国語科・教育相談課長)